どこか、ずっと重たい。
意識のなか、どんよりとした気配の亡霊がどこかにそっと潜んでいるような気がする。
背中に少し冷たいぴりつきを感じる。
やけに寒い日だった。
雨が降ってコンクリートに写った信号機の色は、クリスマスの電飾みたいに光って見えた。
薄く青色に変わっていく空は、そんな鮮やかな光を消し去っていく。
柔い明日の色を街中に塗っていく。
朝。
何度目だろうか。
横断歩道の先、公園の前で煙草に火をつける。
君とここで吸ってから習慣になった。
あの日、寂しくなって二本目の煙草を咥えた。
横断歩道の先、風があって火を捉えきれない私を、君は少し待ってくれた。
風がなくてもきっと待っていてくれたのだろう。
風がなくても、きっと。
そんなことを思って一人で歩く、横断歩道の先の家までの道。
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