「夏目友人帳」に再び触れる

雑記

 私は昔、夏目友人帳をアニメで見て、以来本作品のファンになりました。

その作品を改めて漫画で読む機会が巡ってきたのです。

あのグラフィック、妖怪たちの描き方などに心惹かれるわけです。また、主人公の在り方にも他にはない良さがあります。

とても誠実な主人公ではあるけれど、彼は彼で成熟し過ぎていて、全く荒んだところがない。

だからこそ更生などのプロセスや人間的成長の一端としての物語にはとどまらず(あるいはその要素を一切持たず)もっと妖怪そのもののことや、それを払うものとの確執、あるいは失われた信仰への注目など面白い視点が詰まっています。

何か隠された意味や道徳性というところではなく、純粋に妖怪が見える者の世界線でことが運ばれていくというある意味でのストレートさがうかがえます。

描写にも工夫がある。先ほども書いたように、妖怪たちの古めかしい感じや怪しさなどが我々のイメージに程よくマッチングしたかたちで描かれているのです。

あまりにそれが合致し過ぎていると(ハリーポッターの世界線がそうであるように)それはそれでリアリティが消滅してしまうし、あまりにかけ離れてしまっても話が宙に浮いてしまって形にならない。

しかし夏目友人帳はそのいい塩梅を弁えているように思えます。それがまず物語の雰囲気を引き立てていると思われるのです。

また、「我を護しものよ、その名を示せ」と言い、その紙に息を吹き込んで名前を返す仕草は、漫画の中だとなんとなくわざとらしく見えますが、アニメで見ると素晴らしく趣があるのです。

そのような一つ一つが私の心を打ちます。

サブカルチャーでありながらクラシックで芸術的であるとも言えるのです。

また、人の成長や戦いがメインになるのではなく、超常現象に巻き込まれつつも今や人間との距離が開いてしまった妖怪たちの想いに寄り添うという素敵な設定なのでやはりこの部分でも芸術性が増し、理想的な展開が描かれるといったところでしょう。

ここで描かれる妖怪たちは皆結構健気なところもあり、好感がもてるというのもあるかもしれません。

とにかくうまく言葉にできないような「感覚」や「雰囲気」というレベルで好ましいのです。

もしも漫画を読む機会があれば(古本市場やネットカフェにて)読んでみてください。しかしアニメの方がおすすめでもありますので、できればそちらの方が良いかもしれません。

新しい芸術に触れたような感覚が抱けます。

それでは今回はこんなところで。

ここまでお付き合いいただきありがとうございました。

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