夜の散歩がいつもと違う。

雑記

今日は、S氏と一緒に夜の散歩に出かけることになったのですが……。

我々は時々、昼間の気温が高い日は夜中に散歩をしています。一度そうしてみたら色々な今後の活動等に関する意見が出て、何となく清々しい気持ちになったからです。

そういう散歩の時、私はいつも夜を支配したような気持ちになり、どことない高揚感さえ感じます。

しかし今日の散歩はいつもと違う。ああ、第六感というのはちゃんと存在している、そう思ったのです。

特に決定的なこともなければ何か見ただとか聞いただとかいう実体験もありません。ただ感じたのです。

なるべくその時の気持ちや感覚を私の使う言葉で的確に精妙に表そうと思います。夜が開ける前に書き切りたいので少し殴り書きになるかもしれませんが許してください。また、個人の特定を避けるために少しだけ、地理的情報を削減する部分があると思いますがご理解ください。

 私たちは家を出ました。外に出た瞬間、やはり清々しい気持ちになりました。街灯の灯りはどこか都会らしさを携え、コンクリートはその明かりにしっかりと照らされていました。我々は一つ目の曲がり角まで歩きました。他愛もない話もしました。まるで恐ろしい感じなどしませんでした。気分は夜の支配者です。

そして角を曲がります。そこは小高い小さな丘のようになっていて、草が生い茂っています。その谷間には小さな水の流れる場所があって、そこにはザリガニなどもいます。小さい頃はよくザリガニを捕まえに行ったものです。彼らはそれなりに長生きしましたが、皆死んでしまいました。時が経ったのです。

我々はその丘の前で曲がり角を曲がりました。少し歩くと、その丘から鳥の声がします。凄まじい声です。ギャアギャアと雄叫びをあげているようにも思えます。それも、私たちがきた途端に大声で鳴き始めたのです。

もしもそれまでに鳴いていたとしたら近くを歩いていた私たちにも聞こえるはずです。しかしその時は、「鳥は何しているんでろうね?」「喧嘩かな」というようなことだけを言い合い、笑い、周りのことに関しては深く考えていませんでした。

実際その後とある交差点にたどり着くまでは、このブログの運営に関する話やゲームや日常の話、将来の話などをし続けていました。

鳥の様子に違和感があったことも忘れていたのです。

我々はこのあとある交差点に辿り着きました。信号が四つある、普通の交差点です。しかしこれが普段から不思議な感じのする信号なのです。鳥の鳴いていた丘からまっすぐ歩くと交差点にぶつかります。

この交差点の何が不思議なのかというと、丘から歩いてまっすぐ行ったその交差点を渡った向こう側が、明らかにこちら側とは少し雰囲気が変わるというところです。少し時代が戻ったような。そういう感じです。

しかし今まではそう不気味な感じではありませんでした。あくまで少しだけ不思議な感じです。

今日も特に何か妙な事も思わずにその信号を渡りました。

しかしその信号を渡り終えた瞬間、何かがおかしい。なんだか第六感的に、何とも言えないけれど怖い。何か底知れぬ力を持った妙なものの陣地に入ってしまったような感じ。最果てで何かが待っている感じ。

私は思わずS氏に言いました。

「なんか信号、誰も何も通っていないと怖い感じがするね。」

何気ない感じで言いましたが、実際それまでは抱いたことのない感覚でした。しかし私は俗に言う霊感などというものも持っていません。S氏など私よりもさらに持っていません。

「なんかそんな感じするね。」

S氏が言いました。

今思うと、そんな我々が感じるほどの恐怖と違和感があったということはかなりの邪気が通っていたのではないか……。そう思わずにはいられません。しかもこの辺りを通っていた時間は午前二時半前と言ったところです。丑三つ時です。

しかし我々はその後道を進みました。我々は進みつつも、何か不気味だという趣旨の話しか出てきません。何か怖いと言うと、S氏は先程の鳥がおかしかったから怖い感じがするだけだろうと言いました。あの時から何か音やものの動きに敏感になっているだけだろう、と。

彼も多分怖かったのです。普段私が怖い話などをして聞かせても第六感的な話をしてもまともに取り合うことのない彼が、鳥の所為にしているとはいえ何か妙なものを感じていたのです。

しかしそれでも何も確認できない以上は先に進むことにしました。

彼は「話が盛り上がっていないからじゃないの」とも言いましたがおそらくそうではありません。おかしかったのです、何かが。

彼は私にもうあの場所(目印のような電柱を指差しながら)で引き返そうと言いました。私はいつも散歩に行く時、まだ帰りたくないというのですが、(実際普段の折り返し地点はもう少し先)私も今日ばかりはこれより先に行ってはいけない、もし行く流れになってしまったらどうしようかと思い悩んでいたので都合が良く、ほとんど二つ返事で引き返すことに同意をしました。

そこからはというとどうでしょうか。少し恐怖心というか妙な圧力というかそういうものが消えていくのです。元来た方向に足を進めるに従って確実に抜けていくのです。そして先ほどの信号に着く頃にはかなり軽くなっていました。

私は彼に、「先ほどより信号に恐ろしい感覚を抱かない」という旨のことを言いました。すると彼も、「何だか邪悪なものが消えた感じがするね」と言いました。

彼はその信号を越えた後私に、「あの信号をさっき越えてから折り返してここまで、霊とか感覚の話とかしかしていないよ」と何気なく言ったのですが、私は以前母に「霊の話をしている時って、その霊に言わされているんだって」と言われたことを思い出して、かなり恐怖しました。

私は、霊の話の他にも将来の話などをしていたつもりだったので……。

しかし今思うと感覚に妙なものが走り始めたのもそれが途切れたのもS氏と同じタイミングであったことは事実としてあります。

そのことを考えると、本当にあの十字路の先があの時間に起因してなのか他の要因なのかは置いておいたとしても、確実に何か並外れた、我々の第六感をもってのみ確認できる力に支配されていたということなのでしょう。

夜を支配する者は、他にいたのです。

初めの丘に戻ると、やはり我々が通ると鳥が鳴き始めたのは事実ですが、先程のような妙な声ではありませんでした。もっと正しい、まともな鳥の鳴き声でした。

 私は今日の夜の散歩で、自分自身の第六感を信じました。それに重ねて、夜というものの底をつくことのない、半ば神秘的な特質さえこの身を持って知りました。

こういうものはきっとえてして突然現れるものなのです。誰の近くにも存在し得るものなのです。

いつでも近くで我々を包み込んでしまうことのできるような不思議な世界線は常に開かれようとしている。そのことを忘れずに生き、そしてまた文章を書きます。

そしてそろそろ夜が開けようとしています。太陽が出たら、きっとあの空間は閉ざされるのでしょう……。

 もし何かこのような現象について言及したい方は、このブログのコメント欄あるいはTwitterのコメントやDM、どれでも構いませんからお気軽にどうぞ。

それでは今回はこのようなところで。記事の最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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