映画ハリーポッター「賢者の石」の感想を個人的に惜しいと思うところも含めて語ります。

映画

今まで何度となくおすすめされ続けた「ハリーポッター」シリーズ。

ようやく見ることになりました。しかし、まず私はあまりこの作品に期待していませんでした。

その理由として以下の三つ。

・多くの人が好きなものと自分が好きなものが合わないことが多い。

・学園をベースとしているので、「お調子者」「お節介系」「ライバル」「悪い奴」が絶対に出てくるだろうことが予想され、人間関係がどうしても読めてくること。

・子供たちの陽気な物語でもあるので、必ず悪い結果にはならないことが予測されること。

実際これらはその通り当たっていました。しかし、何が驚きかというとこれらが決定的にもかかわらず、あまり気にならないというところなのです。

「もう続編を見たくない」とも思いません。初めから期待していない部分もあったからとも考えられますが、単純にこの作品が悪くないということも言えるだろうと思います。

まず、カットや編集がうまいということがあります。軽快に場面が変わっていく様子は人を飽きさせません。

そして魔法の世界が舞台であることもあり、映画でかなり重要な「空間の広がり」が強調されているのです。

ひとつひとつアングルを変えるときにわずかに見える学園の外の景色や、ハリー一行が学校にやってくるときの電車を空から写した時に広がっていた野原と森。

そういうものが開放感を表現し、世界の広がりへの期待に変えてくれるわけです。

学校の中も、実は多くを写しているわけではないのですが、見せ方によってその奥行きを表現し、繋げ方で話のテンポをうまく作っているのです。

映像作品としてかなり力が入っていました。

割と最近改めて観た「ロミオとジュリエット」ですが、これは現実の社会、あるいは街、そういうものを扱っているためかかなり狭い印象があります。カット割的にも、同じ場所で長い尺を使う傾向にあるので映像としてはいまひとつな点もあります。

(「ロミオとジュリエット」の感想を書いた記事もありますので一応下に貼っておきます。)

話を戻さねば。今は「ハリーポッター賢者の石」です。

映像作品としては上にあるようにまず素晴らしいと思いますが、「物語」という観点から言うと少々感心出来ない点があります。

いわゆる、水戸黄門的物語なのです。

先がよめる。ハリーを持ち上げるようなスタイルで進んでいく物語なので、ハリーが悪いようにならないことはとにかく結末を見ずともわかりますよね。

また、ハグリットさんの口の軽さに手がかりの収集が一任されており、彼らが情報を手に入れる伏線をそれ以上作らなくて良いという設計になっていることや、ハーマイオニーの知識によって問題解決の糸口がほとんど見つかるので、その伏線もあまり必要ないということが言えます。

そういう意味ではストーリーが雑なつくりになっていることは明白なのです。

また、最終的な黒幕が穏やかそうだったクィレル先生であったというオチもまるでありきたりでした。意外性をもたらしたい場合の展開としてはテンプレートと言っても良いでしょう。

そしてそのクィレル先生との賢者の石の奪い合いのシーンも、「ハリーが素晴らしい力を発揮して敵を倒してしまう」というとくにを死闘を繰り広げるでもない形であっけなく終了してしまい、少々物足りなさは覚えました。

上記のように、物語としてはかなり王道の王道を言ったような形になっていましたし、映像に出てくる人物たちが俗にいう魔女の帽子をかぶっていたり、箒に乗ったり杖を使うなどいかにも「魔法」と言われて通常思い浮かぶようなアイテムが散りばめられていました。

これらが私にとっては残念な点と言えます。

しかしこれに関しては色々な意見があると思います。

私個人としてはあまりイメージ通りだと仰々しくてリアリティを欠ため露骨な作り物として見えてしまうという意見を持っていますが、イメージ通りの方が馴染みやすくて話に集中できるという意見もあると思います。

この王道ストーリーも、映像作品に「悲しみ」「苦しみ」そういったものがない方が好ましいと思う方は安心して面白いストーリーが見ることができるので楽しめるのではないでしょうか。

事実私もこの作品を見て、これだけストーリーには粗さが見受けられる反面何の感情のブレもなくただ世界観を楽しめるというところには感激しました。実際景色や建物、選出を見ていると芸術的感性は磨かれていくような気もします。

リラックスタイムに映画を見るなら、こういったエンターテインメント的作品は適しているかもしれませんね。

続編を観たらまた記事にしようと思います!

今回もここまでお付き合いいただきありがとうございました!

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