『人間失格 太宰治と三人の女たち』を羨望の眼差しでみてしまう

映画

 小栗旬さん主演の『人間失格 太宰治と三人の女たち』を観ました。

何だか唐突にこの映画のことを思い出して……。

アマゾンプライムで無料でした!ラッキー。

この映画を観てまず思ったことは、ただひたすらに太宰治が格好いい。

彼は自己破滅型の典型的な作家といえますが、それにしてもこの壊し方は凄まじいものがある。

私は、自己破滅がもっとも衝撃的で格好いい作品を生み出す方法として適切だろうとは思っているのだけれど、どうしても軽いタッチの美しさへの憧れと自己破滅の怖さが邪魔をしてどうにも踏み切れないでいるのです。

だからこそ私はこの作品を観て、たまらなく彼が強くそして脆く格好良く潔く見えました。

映像としての価値の話になれば、そういう意味では私は最近の映画だと『ドライブ・マイ・カー』などの方が好きですが、この作品においては中身のメッセージ性(私のような作家志望の人間など特定の人間向けのメッセージ性?)に注視してみることができました。

小栗旬さんが何と言ってもそのメッセージ性を表現するのがうまい。とにかくその目線、咳き込みかた、微笑みかた、言葉の発しかた、それらを複合した口説きかた、前髪の使いかた、その全てが素晴らしい。

とにかく美しいのです。

それを観ていると本当に正面からストライクにその伝えんとするところがスッと入ってくる。

私はそれでこの作家の尊さの一部を垣間見たのだと思うのです。

彼は多分辛かったと思う。一番大事にしたかったものを自らの性の前では大事にできず、それを振り回し、傷つけ、踏み潰してまで別のものを選び取り、そしてそれをまた全て薙ぎ倒してそれでやっと小説を書き続けた。

その呻吟がとても尊い。

一番単純なやり方だけれど一番難しい。きっと彼にしかできない生き方であったと思う。

私はきっと彼のような作家にはなろうとしないし、できないだろうと思う。でもあまりに豊かだと不安になって壊したくなるのかもしれない。

まだはじまりにすらいないからわからないけれど、私はどんな誰もやったことの無手に入れる方法でいつか素敵な作品を書きたいと思う。

どこかしらにそんな活力を得られるような映画でした。

皆さんもお時間があればぜひ観てみてください。

ここまでお付き合いいただきありがとうございました。

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