サカナクション「新宝島」に自作のショートストーリー添えてみた

『新宝島』イメージ画像ショートストーリー

導入

 パワー溢れる曲調であり、また同時に独特な雰囲気も醸し出す、この「新宝島」!オチらに今回はストーリーをつけさせていただきました。

 そして、こちらはまったくの私的見解であり、何か公的なものに基づく見解ではありませんので、その点ご理解いただきますようお願いいたします。

 では、ストーリーをお楽しみください( ´ ▽ ` )/

ストーリー

 僕はあと一年もすれば高校を卒業しなくてはならない。長いようできっと短いだろう。僕はあまり多くの友達をもっていない。読書同好会という訳の分からない、実質活動していないような同好会に所属し、そこに行ったりいかなかったりして日々を過ごした。なんともくだらない二年間であった。

 しかしそんな生活にも今日でおさらばだ。僕は進学しなくてはならない。何故か?そんなことに理由はない。ただいけと言われたから行く。それだって立派な選択だと思うのだ。誰かに決定を任せてそこに流される。自分でなんでも決めて進むより信頼性は担保されていないところを進まなくてはならないし、ハイリスクな事だと思うのだ。そうはいえどもこのリスクを犯しておいて最終的に出る結果は決まっている。普通の人になるということだ。まあまずまずだろう。そういうことで僕は周りの流れと親の意向に沿って進学することにしたのである。受験生。その事実は、僕にはかなりの重荷である。しかし、やるしかない。通知表は並であるため、推薦を取ることは難しいからである。とはいえ、中学時代の自分のように、がむしゃらにものごとに取り組んだって駄目だ。全くあの頃は、勉強を頑張っていたけれど、無計画に頑張ったものだから何にもならなかった。結果が出なかったのである。その経験もあ理、今度は計画的に、目的への地図を描きたい。

 そして今、僕はこの大きな敵と戦わなくてはならないのだ。まるで僕の生気のその全てを飲み込んでしまいそうなこの敵とだ。相手の姿かたちというのはなんとも正しくは形容し難い。とにかく大きくて、恐ろしくて、凶暴だ。その敵は観念的なものなのか物質的なものなのかそこのところさえ僕には判断が難しい。そんな存在だ。

 そいつは僕だけに向かって牙を剥く。僕には同じ境遇の友達なんて一人もいないから、余計にそういう風に見えるうえに、物理的に考えても団体戦は不可能である。だから僕が一人で戦う羽目になるのだ。そこで、その戦いに僕が勝利するために言えることは限られているのであるが、一応あるにはある。できるだけ多くの時間、自分が強く、賢くなるためのトレーニングを積むことだ。実践演習。本番を想定してなるべくそこに関わる時間を増やし、鍛錬する。それが、敵への勝利の大前提である。一番遠回りに見えて、一番の近道だ。だから僕は常にその敵のことを考え、何かの作業の片手間でできる限りイメージトレーニングをするのだ。

 いや、何もこのような大変な努力を重ねる日々に終わりがないわけではない。いつか無双の僕になることは確約されている。どうであろうか、一年後にはそんな僕に慣れているのではないだろうか。そうすれば怖くなんかない。その暁には別にずっと敵のことなんて考えていなくてもよくんると思うのだ。女の子とデートしたり、好きな分野の勉強や研究をするだとか、インターンシップに行くだとか。それは非常に有意義なことだ。そう言ったことに心置きなく取り組むためにも、今は、この一年はあの宿敵を倒すことに集中しなくてはならない。

「おい、お前がいう敵ってのは受験のことだよな?お前は頑張り屋だ。」

 洒落たカフェで僕の目の前に座る、いかにも当世風でないチェック柄のシャツを一番上までしめた友達がそう言った。

「え?違うよ。あの、最近買ったゲームのモンスターのことね。もちろん勉強もするけれど。僕はできればの話、イースポーツで食って行きたいからさ。」

 僕はそう答えた。

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